皇妃エリザベートの生涯と
ハプスブルク家
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エピソード1|エリザベート誕生

シシィ伝①のエピソード1は、エリザベートの誕生について描いたものです。

エリザベートはどのように生まれ育ったのでしょうか?

この幼少期が、エリザベートが大人になってもエリザベートであり続けた理由でした。

シシィ伝1・エピソード1 エリザベート誕生
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エリザベート誕生

1837年12月24日、日曜日。

皇妃エリザベートはバイエルン王国ミュンヘンの父マクシミリアン・ヨーゼフ公爵の館で生まれた。

クリスマス・イブに生まれ、生まれたときに歯が生えていたことで、エリザベートにはとても幸せな未来が期待された。

エリザベート誕生イメージ画像

父マクシミリアン・ヨーゼフはバイエルン王国ヴィッテルスバッハ家一族の公爵であった。

上院議員の議席はあったが、特に公務も与えられず、おおよそ貴族らしくない人物だった。マクシミリアン・ヨーゼフは旅行が好きで、読書家であった。

貴族らしい学びをせず、ミュンヘンの学校に7年間通い、市民のように生きてきたマクシミリアン・ヨーゼフは、ミュンヘン大学へ進んでからは歴史学と博物学を学んだ。

実際、マクシミリアン・ヨーゼフの両親もまた息子に多くを学ばせなかった。

マクシミリアン・ヨーゼフはあまり両親との交流がなく、特に母は病がちだったため、兄弟姉妹もいないマクシミリアン・ヨーゼフは孤独だった。

そして貴族のようにも振る舞わなかった。

旅行に行っては読書に勤しんだ。チターという楽器の腕前も確かで、旅先でもチターを演奏し、これを領民とも楽しんだ。

エリザベートの母ルドヴィカ王女はバイエルン王家から降嫁し、そんな「ちょっと変わり者」のマクシミリアン・ヨーゼフと結婚した。

しかし夫マクシミリアン・ヨーゼフは「普通の貴族」ではなかったので、ルドヴィカは非常に苦労した。

マクシミリアン・ヨーゼフとの結婚生活は散々なものとなり、ルドヴィカは早々に夫を諦めて子育てのために生きることに決め、子どもたちの教育も自分で行なっていったという。

マクシミリアン・ヨーゼフはエリザベートを目の中に入れても痛くないほどに愛し慈しんでいた。

エリザベートはそんな父の影響を大きく受け、自由な生活を好み、自然を慈しむ女性に育った。

乗馬や水泳を楽しみ、特に夏の住まいポッセンホーフェンの館は、エリザベートのお気に入りの夏の別荘だった。

エリザベートの幼少期イメージ画像

自然の中でのびのびと育ったエリザベートは、父マクシミリアン・ヨーゼフに連れて行かれ、山を歩き、農民たちの家で遊び、領民と同じように街中で買い物を楽しんだという。

ある時、父マクシミリアン・ヨーゼフとその仲間、そしてエリザベートが、誰もが自分たちを誰であるか知らない辺境の地でチターの演奏をした。

そこで可愛いエリザベートが得た1枚のコインを、「私が稼いだ唯一のお金なのです」と、大人になったエリザベートは大切に持っていたという。

父が屋敷に領民を招き、サーカスの真似事をしているのを見ながら育ったことは、エリザベートの心に色濃く残ったのである。

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In English: Elisabeth’s Birth

Sunday, December 24, 1837.

Elisabeth—later known affectionately as Sisi—was born in her father’s residence, Duke Maximilian Joseph’s home, in Munich, Bavaria.

Born on Christmas Eve and, according to some accounts, with a tooth already visible, Elisabeth’s birth was seen as an auspicious sign promising happiness.

Her father, Duke Maximilian Joseph in Bavaria, belonged to the Wittelsbach family. Although he held a seat in the Senate, he had no formal duties and did not exemplify the traditional aristocratic lifestyle. Instead, he had a passion for travel and an insatiable appetite for reading.

Unlike most nobles, Maximilian Joseph attended a public school in Munich for seven years, leading a more ordinary life than expected for someone of his rank. His parents did not provide him with the conventional education of an aristocrat, and due to his mother’s poor health and the absence of siblings, he often felt alone.

He loved travel and reading, and he was adept at playing the zither. During his journeys, he would often play this instrument for ordinary townsfolk, enjoying the simple pleasure of sharing music with them.

Elisabeth’s mother, Princess Ludovika of Bavaria, married this unconventional duke. Their marriage, however, was not as harmonious as one might expect. Eventually, Ludovika decided to focus on raising her children rather than adhering strictly to aristocratic norms.

Maximilian Joseph adored Elisabeth deeply. Under his influence, she developed a love for freedom and nature. She enjoyed horseback riding, swimming, and spending summers at Possenhofen, the family’s summer residence.

Accompanying her father into the mountains, Elisabeth played in peasants’ homes and even went shopping among the townsfolk, embracing experiences far removed from typical aristocratic activities.

On one occasion, while traveling incognito with her father and his companions, Elisabeth played the zither in a remote area. The single coin she received in appreciation was, as she later recalled, the only money she ever earned, and she treasured it for the rest of her life.

Growing up, Elisabeth witnessed her father inviting local villagers to their estate and putting on performances reminiscent of a traveling circus. These experiences left a vivid impression on her young mind and helped shape her independent, nature-loving spirit.

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参考文献

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全ての参考文献は、こちら からご覧ください。

皇妃エリザベート

  • ブリギッテ・ハーマン著/中村康之訳 「エリザベート 美しき皇妃の伝説」 上 ISBN 978-4-02-261488-9
  • ブリギッテ・ハーマン著/中村康之訳 「エリザベート 美しき皇妃の伝説」 下 ISBN 978-4-02-261489-6
  • 須貝典子著/片野優・写真 「美しき皇妃エリザベート」 ISBN-13 978-4309228761
  • 沖島博美著 「皇妃エリザベートをめぐる旅 ドイツ・オーストリア・ハンガリー シシィの足跡をたずねて」 ISBN 978-4309226842
  • 毎日放送 「皇妃エリザベート展」
  • NHKプロモーション 「輝ける皇妃 エリザベート展」
  • 南川三治郎 写真・文 「皇妃エリザベート 永遠の美」 ISBN 4-418-06515-6
  • 森実与子著 「エリザベート 美と旅に生きた彷徨の皇妃」 ISBN 978-4-404-04017-6
  • 桐生操著 「新訳 皇妃エリザベートとふたりの男たち」 ISBN 978-4062201926
  • 名香智子著/ジャンデ・カール原作/塚本哲也 監修・解説 「マンガ 皇妃エリザベート」 ISBN 4-06-256488-2

ハプスブルク家

  • 関田淳子著 「ドイツ王室1000年史 ヨーロッパ史を動かした三王家の栄華と終焉」 ISBN 978-4-8061-4856-2
  • エーリヒ・ツェルナー著/リンツビヒラ裕美訳 「オーストリア史」 ISBN 4-88202-580-9
  • 谷口健治著 「バイエルン王国の誕生 ドイツにおける近代国家の形成」 ISBN 4-634-64850-4
  • 亀井高孝・三上次男・林健太郎・堀米庸三 編 「世界史年表・地図」 ISBN 978-4-642-09569-3
  • 君塚直隆著 「立憲君主制の現在 日本は「象徴天皇」を維持できるか」 ISBN 978-4-10-603823-5
  • バーバラ・ジェラヴィッチ著/矢田俊隆訳 「近代オーストリアの歴史と文化」 ISBN 4-634-65600-0
  • 君塚直隆著 「君主制とはなんだろうか」 ISBN ISBN: 978-4-480-68477-6
  • 君塚直隆著 「貴族とは何か ノブレス・オブリージュの光と影」 ISBN ISBN: 978-4-10-603894-5
  • 久米邦武 編著/大久保喬樹 訳 「現代語縮約 特命全権大使 米欧回覧実記」 ISBN 978-4-04-400123-5
  • 山之内克子著 「物語 オーストリアの歴史 中央「いにしえの大国」の千年」 ISBN 978-4121025463
  • 山崎雅弘著 「第一次世界大戦への道 二度のバルカン戦争とオーストリア=ハンガリーの思惑」 ISBN 978-4-334-03824-3
  • 天野川夕子著 「中世ヨーロッパの城 平和時の城の生活、そして戦争と騎士」 ISBN 978-4-7926-1111-1
  • 川成洋 編集者代表/菊池良生 佐竹謙一 編者 「ハプスブルク事典」 ISBN 978-4-621-30681-9

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